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夏の道東でガイドしてもらう旅(6) 45分後に上がってくるよ (羅臼沖)

「いいか、見てろよ! シッポ出すぞぉ!」

ガイドのおじさんが前方を指差しながら叫んだ。突然速度を上げてその地点を目指していた船の前方に黒っぽい大きな物体が浮き上がってきた。その瞬間を見逃すまいと、みんなの視線がその物体へと集中する。ゆっくりと物体が沈み込もうという動きを見せた後、ずおーんと大海原からきれいな黒い尾ひれが現れた。「あー」「おー」「おっきい」「すげー」と、あちこちから歓声が上がった。そして、もっと見ていたいというこちらの思惑を気にすることもなく、尾ひれはすっと垂直に沈んでいった。

北海道旅行2010のマッコウクジラ1 北海道旅行2010のマッコウクジラ2 北海道旅行2010のマッコウクジラ3 北海道旅行2010のマッコウクジラ4 北海道旅行2010のマッコウクジラ5 北海道旅行2010のマッコウクジラ6

船上の緊張感が次第にゆるんでいく。

「みんな見たろ! よかったな! よし、次は45分くらいしたら上がってくるから。」

おじさんはちょっと自慢げにみんなの笑顔を確認した後に、冷静に次の予定を告げた。えーと、45分待つのかな?このまま。誰もがおじさんの言ったことが腑に落ちない様子だったが、これが自然相手の話だと悟った後は、思い思いに次にマッコークジラが浮上するのを待つ体勢に入った。

羅臼港を出向したホエールウォッチング船の上にいた。2005年に知床が世界遺産に登録された時の選定基準の一つに「海洋生態系と陸上生態系の相互作用を示す顕著な例」というものがあった。知床半島にヒグマやエゾシカが数多く生息しているのは広く知られているが、その近海にクジラなど海洋哺乳類も多く暮らしていることは知られていないようだ。自分も以前の知床訪問で海の豊かさに触れたのは、羅臼港に上がる美味な魚介類をいただいた時のみであり、そこで暮らす海洋哺乳類を観察する機会は持てなかった。今回の旅行では、世界遺産登録で注目されたこともあり、ぜひとも海に暮らす哺乳類たちと出会いたいと、ホエールウォッチング船への乗船を決めた。

前日までに宿泊した「羅臼の宿 まるみ」の運営するアリラン3世号は朝9時に多くの観光客を乗せて出向した。宿のオーナー自らがガイドを務めてくれる。国後島がずいぶんと近くに見える羅臼沖を生物を探しながら進んでいくが、この広い海域でそう簡単に生物に遭遇するわけはなかった。30分ほどして船が急に旋回し出したと思うと、数頭のイシイルカの群れに出会うことができた。イルカも全速力で泳いでいるので船もなかなかのスピードを出しながらでの観察となった。以前、天草のイルカちゃんたちはこちらに姿を見せてくれているかのように近くを比較的ゆっくり泳いでくれたのに比べて、非常に野性味あふれるイルカちゃんだった。

北海道旅行2010のイシイルカ

それから、またゆったりとした時間が40分近く流れていった。とても天気が良く贅沢な時間であったが、やはり野生動物と出会うのは難しいもんだと、なんとなくあきらめ気分が蔓延しつつあった。すると、突然船がスピードを上げ、迷うことなく一直線にある方向を目指した。

「潮吹いているだろ! 見えるか? ぶわっと吹いてるだろ?」

マッコークジラと出会えたのだ。でも、出会いの時間は1分となかったと思う。

船はエンジンを止め、ゆらりゆらりと漂うにまかせることとなった。クジラは45分間潜水することができるので、次に息継ぎをするのに浮上してくる時にその姿を拝むことができるのだ。気を長ーくして、時の流れを味わうことになった。

そして、45分以上が経過した。船がおもむろに動き始めた。おじさんは「間に合うかな?」と一言。随分と遠くにクジラが浮上したらしい。肉眼では全く確認できなかった。結局、クジラが潜るまでにその姿を見ることはできなかった。そのまま船は羅臼港へと戻っていった。そんな3時間余りのホエールウォッチングツアーだった。

この大海原でイルカやクジラに遭遇するのはガイドなしでは偶然に任せる以外にはないので、ガイドのありがたさを実感できた。クジラの大きさは素直に感動ものであった。頭ではその存在を理解していたが、目の前で直接その大きな体を見た時の感動は相当なものだった。大きな自然のふところの深さを感じることができた。そして、いつまでも、ここがこんな海であって欲しいと思った。

2010年夏の北海道の旅では、様々な出会いを楽しむことができた。ガイドの皆さんにいろいろ案内してもらった。自分たちだけで旅するのも気ままでよかったが、見落としていたものが多かったのだと実感した。今回の旅行も強く思い出に残ると思うが、この思い出はガイドの皆さんとともにあるだろう。ガイドは思い出を演出する仕事である。絶対的な自然の価値を見落とさないようにヒントをくれる仕事である。
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テーマ : 国内旅行
ジャンル : 旅行

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